美馬市脇町

(徳島県) 
2016年撮影。
 
四国の金毘羅宮へ参詣したあと大阪への帰路は徳島からフェリーに乗ることにして徳島に向かって移動を開始。
そろそろ吉野川が見えるだろうと思っていたところで「うだつの街」というサインを見つけました。
偶然出会った街。
徳島県美馬市脇町。
もともと吉野川で栄えた川湊であった脇野町は藍の集散地として栄えたといいます。
うだつの本来の機能は防火壁だそうですが、やがて財力を誇る装飾的な意味合いに変化していたったとか。

うだつ

 
「うだつが上がらない」
というのは見栄えが良くない、地位が低いまま、と言った意味がありますが、そのうだつとはどんなものなのか。
この街に来るまで実物を見る機会はほとんどなかったように記憶します。
日本家屋の残る街。
しかもうだつの上がる街。
あやかりたいと思ったのは言うまでもありません。 

町並み

 
1988年に重要伝統的建造物保存地区に認定されたこの街。
それほど広いエリアではなかったけれど、どこかしら懐かしく、またどこかしら落ち着いた雰囲気を味わえる場所でした。 

 
インバウンドの波がここにもやってきていました。
おしゃれなカフェや地産地消の料理屋などが点在しているのはもちろん、比較的安い費用で滞在できる日本家屋を利用した宿泊施設などもありました。
看板には英語の説明も。
外国人がここまで来るというのは、ちょっとした驚きでした。

 
 

 

ホーロー看板

 
町並みが伝統的だと看板もこういうものが似合うのかもしれません。
 「悪いコレクターに盗まれないのかな」
 少し心配になる景観でもあります。 

沈下橋

 
脇町から少し歩いて県道を渡ると吉野川の土手。 
滔々と流れる吉野川の景観が広がります。
少し川上側に掛かる橋には欄干がありません。
欄干の無い「沈下橋」。
大雨などで水量が増えると川に沈む橋はここ吉野川だけではなく、高知へ行くと仁淀川や四万十川にもかかっています。
地元の人達なのでしょう。欄干のない橋を自動車でスイスイと渡っていく。スリルのある、しかし長閑な光景でした。

群生する菜の花

 
吉野川に広がる景観。
最も驚いたのは河川敷いっぱいに広がる満開の菜の花でした。
広々とした河川敷が黄色に染まり太陽に照らされキラキラとしています。
そして周りには得も言えぬ香りが漂っています。
たまたま訪れた季節が春だったからか。
このような景色が広がっていたのでしょう。
春の微風に揺れる腰の丈ぐらいまである菜の花の海を歩く。
そんなことができるのも「うだつの街」の醍醐味だったのかも知れません。 


 
吉野川河川敷に咲く菜の花。